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ドローインの正しいやり方|効果が出るまでの期間と「時代遅れ」と言われる理由

ドローインは、息を吐きながらお腹を薄く凹ませ、呼吸を続けたまま保つ体幹エクササイズです。正しい手順と腰を痛めない注意点、効果が出るまでの考え方、時代遅れや効果ないと言われる理由を研究をもとに整理します。

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Business Athlete 編集部
フローリングに敷いたヨガマットの上に置かれたストップウォッチと、たたんだタオルと水の入ったグラス

Key Pointsこの記事の要点

  1. 基本は仰向けで膝を立て、息を吐きながらへその下を凹ませ、呼吸を止めずに10秒ほど保つ動きです。
  2. 腹筋運動だけでお腹の脂肪が減るという根拠は乏しく、ドローインも脂肪を落とす運動ではありません。
  3. 腰の安定にはお腹を凹ませるより全体を固めるほうが有利という研究もあり、他の運動と組み合わせて使います。
目次7
  1. ドローインとは?何に効いて、何には効かないのか
  2. ドローインの正しいやり方(仰向けの基本形)
  3. 慣れたら姿勢を変えて、日常に組み込む
  4. 効果が出るまでの期間は?研究からいえること
  5. ドローインが「時代遅れ」「効果ない」と言われる理由
  6. 腰を痛めないための注意点
  7. 今日からやること

ドローインの正しいやり方は、「仰向けで膝を立て、息を吐きながらへその下を背骨に近づけるように凹ませ、呼吸を止めずに10秒ほど保つ」ことです。ただし、ドローインはお腹の脂肪を落とす運動ではありません。また、腰を安定させる方法として特別に優れているという考え方も、その後の研究で見直されています。お腹の深い筋肉を感じる練習や姿勢のリセットとして使い、全身の運動と組み合わせるのが現実的な使い方です。

ドローインとは?何に効いて、何には効かないのか

ドローイン(draw-in)は、お腹をへこませた状態を保つ体幹エクササイズです。主に働くのは、お腹の奥でコルセットのように胴を一周している腹横筋(ふくおうきん)です。いわゆる「割れた腹筋」の腹直筋より深い位置にあります。

ドローインが広まった背景には、1990年代の研究があります。腕をすばやく動かしたとき、腰痛のある人は腹横筋の働き出しが遅れていたという報告です。ここから「腹横筋を鍛えれば腰が安定する」という考え方が広がり、お腹をへこませる練習がリハビリやトレーニングの現場で使われるようになりました。

一方で、期待されすぎている面もあります。期待できることと、期待しにくいことを分けておきます。

期待できること期待しにくいこと
お腹の深い筋肉を動かす感覚をつかむお腹まわりの脂肪だけを減らす
姿勢を意識するきっかけになるドローインだけで腰痛を防ぐ
場所を選ばず、負荷が軽い体重を大きく落とす

よくある誤解 「お腹を鍛えればお腹の脂肪から落ちる」わけではありません。6週間、週5日の腹筋運動を続けた比較試験では、腹筋の持久力は伸びた一方、腹囲や腹部の脂肪には差が出ませんでした。お腹を引き締めたいなら、脂肪を減らすための有酸素運動と食事が先です。詳しくは男性の内臓脂肪を落とす運動と食事をご覧ください。

ドローインの正しいやり方(仰向けの基本形)

最初は、体の力を抜きやすい仰向けで覚えます。

  1. 仰向けになり、膝を90度くらいに曲げて足裏を床につける。足は腰幅に開く
  2. 腰と床の間は、手のひらが薄く入る程度の自然なすき間を残す(強く押し付けない)
  3. 鼻から息を吸い、お腹を軽くふくらませる
  4. 口から細く長く息を吐きながら、へその下を背骨に近づけるようにお腹を薄くする
  5. 凹ませた状態のまま、浅く呼吸を続けて10秒ほど保つ
  6. 力をゆるめて元に戻す。これを5回ほど繰り返す

腹横筋が使えているかの確かめ方

腰骨の前側にある出っ張りから、指2本分ほど内側の柔らかいところに指先を当てます。軽く咳払いをすると、その部分が指を押し返すように張るのがわかります。ドローインで息を吐き切るときにも同じように張っていれば、腹横筋が働いています。

ありがちな失敗

  • 肩や首に力が入り、肩が上がっている
  • お腹を凹ませる代わりに、腰を反らせたり、床に強く押し付けたりしている
  • みぞおちが固くなり、腹直筋で「力こぶ」を作るように力んでいる
  • 凹ませている間に息を止めている

特に息を止めるのは避けてください。力んで息を止めると血圧が上がりやすくなります。凹ませたまま呼吸を続けられることが、正しくできているかの目安です。

慣れたら姿勢を変えて、日常に組み込む

仰向けでできるようになったら、生活の中の姿勢でも行います。

姿勢難しさ使いどころ
仰向けやさしい朝起きたときや寝る前に感覚の確認
椅子に座るふつう会議の前、長いデスクワークの合間
立つふつう電車の待ち時間、エレベーターの中
四つ這いやや難しい自宅で負荷を上げたいとき

デスクでの1分ドローインは、次の流れで行います。

  1. 椅子に浅めに座り、足裏を床につける
  2. 骨盤を立て、頭のてっぺんを天井へ引き上げる
  3. 息を細く長く吐きながら、へその下を背もたれ側へ引き込む
  4. 凹ませたまま3呼吸保ち、ゆるめる。これを3回繰り返す

オンライン会議の前や、資料作成の切れ目に入れると、背中が丸まったまま固まるのを防ぐきっかけになります。

四つ這いでは、手を肩の真下、膝を股関節の真下に置き、背中を平らに保ったまま、お腹を天井へ引き上げるように凹ませます。お腹が重力で下がる分、仰向けよりきつくなります。

座って行う場合は、骨盤を立てて座り、頭頂を天井へ引き上げるように背すじを伸ばしてから行います。在宅勤務で座りっぱなしになりがちな人は、デスクワークの腰と肩のケアと組み合わせると、座りっぱなしの時間に区切りをつけやすくなります。

効果が出るまでの期間は?研究からいえること

「ドローインを何日続ければ何cm細くなる」と言い切れる研究は見当たりません。ネット上の「2週間で効果」といった話は、個人の体験か根拠のはっきりしない数字だと考えてください。

そのうえで、変化の現れ方は次のように分けて考えると現実的です。

  1. その場:お腹を凹ませている間はウエストが細くなる。ただしこれは筋肉で引き込んでいるだけで、脂肪が減ったわけではない
  2. 練習を続けるうちに:お腹の深い部分を動かす感覚がつかめ、座り姿勢や立ち姿勢で意識しやすくなる(期間の個人差は大きい)
  3. 数週間以上:腹部の筋持久力は、運動を続けることで伸びることが示されている。ただし腹部の脂肪は、腹筋運動だけでは変わらなかった

ウエストサイズそのものを変えたいなら、ドローインに加えて、有酸素運動と全身の筋トレ、食事の見直しが必要です。厚生労働省のガイドも、特定の部位だけを鍛えるのではなく、全身の大きな筋肉を週2〜3日鍛えることを勧めています。

ドローインが「時代遅れ」「効果ない」と言われる理由

ドローインが否定的に語られる理由は、主に3つあります。

1. 腰の安定には「全体を固める」ほうが有利という研究

お腹を凹ませる方法(ホロウイング)と、お腹全体を360度固める方法(ブレーシング)を比べた研究では、ブレーシングのほうが腰椎の安定性を高めていました。腹横筋だけを働かせても、力学的に腰を安定させる効果は小さいと推定されています。

ブレーシングは、おへそのまわりを外側に軽く張り出すようにして、お腹・脇腹・腰の筋肉を同時に固める方法です。重い荷物を持ち上げる直前に、自然とお腹に力が入る感覚に近いものです。

ブレーシングの練習は、次の手順で行います。

  1. 立った姿勢で、両手を脇腹(肋骨の下と腰骨の間)に当てる
  2. 普通に息を吸い、半分ほど吐いたところで止めずに、お腹まわり全体を軽く固める
  3. 手で触れた脇腹と背中側が、内側から押し返してくる感覚を確かめる
  4. 固めたまま浅く呼吸を続け、10秒ほど保ってゆるめる

力の入れ具合は、最大の2〜3割程度で十分です。出張の荷物を棚に上げる、子どもを抱き上げるといった場面の直前に使うと、日常で生きる体幹の使い方になります。

2. 腰痛対策として、他の運動より優れているわけではない

慢性の腰痛に対し、体幹の深い筋肉の制御を練習する運動(ドローインを含む運動療法)を調べたコクランのレビューでは、助言だけなどの最小限の対応と比べて、痛みや機能の改善が見られました。一方、他の種類の運動と比べると、明らかな差はありませんでした。つまり「腰痛にはドローインでなければならない」理由はなく、続けやすい運動を選べばよいということです。

3. 痩せる運動として紹介されすぎた

「1日1分でウエストが細くなる」といった紹介のされ方をしたことで、期待どおりにならず「効果がない」と感じた人が多かったと考えられます。脂肪を減らす運動としては、もともと向いていません。

ポイント 時代遅れなのは、ドローインという運動そのものより、「ドローインだけで腰痛予防もお腹痩せもできる」という使い方です。深い筋肉を感じる入口として使い、ブレーシングや全身運動へ進めば、今でも役に立ちます。

腰を痛めないための注意点

ドローインは負荷が軽い運動ですが、やり方によっては腰に負担がかかります。

  • 腰を床に強く押し付けたり、反らせたりしない
  • 息を止めない。止めたくなったら凹ませる強さを弱める
  • 満腹の食後すぐは避ける
  • 痛みや違和感が出たら、その場で中止する
  • 回数を急に増やさない。疲れて形が崩れたら終わりにする

受診の目安 安静にしていても腰が痛む、脚にしびれや力の入りにくさがある、排尿や排便の異常がある、発熱を伴う、といった場合は運動を控え、医療機関を受診してください。ぎっくり腰の直後など、痛みが強い時期も無理に行わないでください。

慣れてきて物足りなくなったら、プランクやスクワットなど、ブレーシングを使う全身の種目に進むのがおすすめです。短時間で心拍数も上げたい人は、HIITの始め方も参考になります。

今日からやること

  1. 今夜、仰向けで膝を立て、10秒キープを5回だけ試す
  2. 腰骨の内側に指を当て、咳払いで張る場所を確かめる
  3. 明日の朝の会議前に、座ったまま1回ドローインをする
  4. 慣れたら、重い荷物を持つ前にブレーシングを意識する
  5. お腹を細くしたいなら、速歩などの有酸素運動を週の予定に入れる

FAQよくある質問

Qドローインは何日で効果が出ますか?

何日で効果が出ると言い切れる研究はありません。お腹の深い筋肉を動かす感覚は、毎日少しずつ練習するうちにつかめてきますが、かかる期間には個人差があります。ウエストを細くしたい場合は、有酸素運動と食事で脂肪を減らすことが欠かせません。

Qドローインは時代遅れで意味がないのですか?

意味がないわけではありません。ただ、腰の安定にはドローインだけが特別に優れているという考え方は、その後の研究で支持されていません。お腹の深い筋肉を意識する入口として使い、ブレーシングや全身の筋トレにつなげるのが今の考え方です。

Qドローインで腰痛が悪化することはありますか?

腰を強く反らせたり、床に押し付けたり、息を止めて力んだりすると、腰に負担がかかることがあります。痛みが出たらその場で中止してください。脚のしびれや安静時の痛みがある場合は、運動より先に医療機関で相談してください。

Q1日に何回、どのくらいやればいいですか?

決まった回数はありません。初めは10秒キープを5回ほどから始め、呼吸を止めずにできるようになったら、立った姿勢や座った姿勢でも行います。回数を増やすより、正しい形で毎日続けることを優先してください。

参考資料

  1. Inefficient muscular stabilization of the lumbar spine associated with low back pain(Spine, 1996) PubMed
  2. Quantification of lumbar stability by using 2 different abdominal activation strategies(Archives of Physical Medicine and Rehabilitation, 2007) PubMed
  3. Motor control exercise for chronic non-specific low-back pain(Cochrane Database of Systematic Reviews, 2016) PubMed
  4. The effect of abdominal exercise on abdominal fat(Journal of Strength and Conditioning Research, 2011) PubMed
  5. 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 厚生労働省

この記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療に代わるものではありません。持病のある方、服薬中の方、体調に不安のある方は、医師などの専門家に相談してください。