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在宅勤務のデスクと椅子の選び方|腰痛を防ぐ高さの目安と昇降デスクの要否

在宅勤務の机と椅子は、まず椅子の座面高を合わせ、画面の上端を目の高さ以下にするのが先です。昇降デスクは座る時間を減らす手段の一つで、最優先ではありません。厚労省の目安と自宅で測る手順をまとめます。

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Business Athlete 編集部
スタンドで高さを上げたノートパソコンと外付けキーボード、巻き尺、机の下の足台。窓からの光が差す在宅勤務の机

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Key Pointsこの記事の要点

  1. 厚労省の指針の目安は、座面高37〜43cm、固定机65〜70cm、画面まで40cm以上、画面上端は目の高さ以下です。
  2. 昇降デスクは職場で座る時間を1日平均約100分減らした報告がありますが、根拠の質は低く、腰痛予防の効果は確立していません。
  3. 予算の優先順位は「椅子→画面の高さ→机」。足台やノートPCスタンドなど安価な小物で解決できることも多くあります。
目次6
  1. 厚労省が示す椅子・机・画面の目安は?
  2. 昇降デスクは本当に必要?結論:最優先ではない
  3. 予算はどこにかける?椅子・机・小物の優先順位
  4. 自宅で測るには?座面・肘・画面の3点を確かめる
  5. 安く効く小物は?ノートPCスタンド・モニターアーム・足台
  6. 今日からやること

在宅勤務で腰や肩の負担を減らすなら、最初にお金と時間をかけるべきは椅子と画面の高さです。厚生労働省の指針では、座って足裏全体が床につき、画面の上端が目の高さと同じかやや下、目から画面まで40cm以上が基本の形です。昇降デスク(スタンディングデスク)は座る時間を減らす手段として研究がありますが、根拠の質は低く、最優先の買い物ではありません。自宅で測る手順と、予算の優先順位をまとめます。

厚労省が示す椅子・机・画面の目安は?

数字の出どころは「情報機器作業ガイドライン」

基準になるのは、厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」です。令和元年(2019年)に策定され、令和3年(2021年)に一部改正されました。事務所でのパソコン作業を対象にした指針ですが、事務所以外での作業もできる限りこれに準じるよう示されています。

体格に関わる目安は次のとおりです。

項目目安補足
椅子の座面高37〜43cm程度で調整できる座ってクッションが2〜3cm沈んだ状態
高さ固定の机床から65〜70cm程度女性・男性それぞれに必要な高さの平均
高さ調整できる机60〜72cm程度で調整できる椅子を合わせた後に机を合わせる
目から画面おおむね40cm以上書類やキーボードとの距離差を小さく
画面の上端目の高さとほぼ同じか、やや下大画面は本体の上に置かない
文字の大きさ文字の高さおおむね3mm以上表示の拡大で調整する

腕の角度についても、解説部分に記載があります。上腕と前腕の角度は90度以上で、キーボードに自然に手が届く姿勢が好ましいとされています。

注意 市販の椅子の座面高の表示は、クッションが沈む前の高さが一般的だと指針は注意しています。カタログの数字と、座ったときの実際の高さは同じではありません。

部屋の明るさと温度の目安

厚労省は、指針と事務所衛生基準規則をもとに、自宅でテレワークをする際の環境整備のポイントを1枚にまとめています。

項目目安
机上の照度300ルクス以上
室温18〜28℃
相対湿度40〜70%
窓の光画面に入る場合はブラインドやカーテンで調整

自宅には事務所衛生基準規則やこの指針は一般には適用されません。ただし、テレワークのガイドラインは、これらと同等の作業環境になるよう、労働者用のチェックリストを使って確認することを勧めています。会社から確認を求められていなくても、自分の机を点検する物差しとして使えます。

昇降デスクは本当に必要?結論:最優先ではない

研究でわかっているのは「座る時間が減る」こと

職場で座る時間を減らす方法を集めたコクランレビュー(2018年)は、34件の研究、計3,397人を分析しています。昇降デスクの結果は次のとおりです。

  • 3か月以内の短期では、職場で座る時間が1日平均約100分減った(10件、根拠の質は低い)
  • 3〜12か月の中期では、1日平均約57分の減少(2件のみ)
  • それより長い期間の効果を示す研究はない
  • 固定のスタンディングデスクと昇降デスクで、効果に有意な差はなかった

注目したいのは、道具を買わない方法の結果です。30分ごとに1〜2分の短い休憩をとる方法は、1日2回の長い休憩に比べ、座る時間を1日平均約40分減らしました。研究は1件で、根拠の質は低いものの、習慣だけでも一定の効果が見込めます。

腰痛を防ぐ根拠はまだ限られる

座る時間が減ることと、腰痛が防げることは別の問題です。腰痛のあるデスクワーカー56人を3か月追った2026年の試験では、「30分座って15分立つ」と決めた群で、腰痛の強さが10段階で1程度下がったと報告されています。ただし小規模で期間も短く、予防効果が確立したとは言えません。

立ちっぱなしにも注意が要る

英国の成人約8万3,000人(平均61歳)を加速度計で調べた2024年の研究では、座る時間が1日10時間を超えると心血管病のリスクが高い関連が見られました。一方、立つ時間は心血管病と関連せず、1日2時間を超えると、静脈瘤など立ち姿勢に関わる循環器の病気のリスクが高い関連がありました。観察研究なので因果関係までは言えませんが、「座る代わりに立ち続ければよい」わけではないことがわかります。

昇降デスクが向く人・向かない人

タイプ判断理由
会議と資料作成で1日中座りっぱなし検討の価値あり立つ時間を作りやすい
家族と机を共有している検討の価値あり体格に合わせて高さを変えられる
椅子がまだ合っていない後回し座っている時間の姿勢が先
部屋が狭い・天板を壁際に置けない慎重に奥行きと配線の確保が必要
立って作業する予定がない不要固定机で十分

よくある誤解 昇降デスクは「立って働く机」ではなく「座る・立つを切り替える机」です。指針も、座位のほか時折立位を交えて作業することが望ましいとしています。立ちっぱなしを目指す必要はありません。

予算はどこにかける?椅子・机・小物の優先順位

結論:椅子→画面の高さ→机の順

在宅勤務で最も長く体に触れているのは椅子です。机の高さが合わなくても、椅子と足台で合わせられる場合があります。逆に、椅子が合わないと、どの机を買っても姿勢が崩れます。

優先投資先先に確認すること
1椅子座面高の調整幅、背もたれ、肘掛け
2画面の高さノートPCスタンドかモニターアーム
3足台・照明足裏が浮く、手元が暗い
4固定デスク高さ65〜70cm前後、脚元の空間
5昇降デスク立つ時間を本当に作るか

椅子の選び方の基準

指針が椅子に求める要件を、買うときの確認項目に置き換えると次のようになります。

  1. 座面の高さを調整でき、調整中に座面が急に落ちない
  2. 背もたれがあり、できれば傾きを調整できる
  3. 安定していて、移動しやすい(キャスターなど)
  4. 必要に応じて、適当な長さの肘掛けがある
  5. 座ったときに、膝の裏と座面の間に指が入るゆとりがある

5は店頭で座って確かめる項目です。座面の奥行きが深すぎると、膝の裏が圧迫されます。背もたれに背中をつけた状態で確認してください。

昇降デスクを選ぶなら

買うと決めた場合は、次の点を基準にします。

  • 座って使う高さまで下がるか(指針の調整範囲の目安は60〜72cm程度)
  • 立ったときの肘の高さまで上がるか(自分の肘の高さを実測して比べる)
  • 大型の画面を置くなら、体をねじらずに済む奥行きがあるか
  • 電動か手動か(切り替えが面倒だと立たなくなる)

自宅で測るには?座面・肘・画面の3点を確かめる

巻き尺を1本用意すれば、10分ほどで確認できます。ふだん室内履きを履くなら、履いた状態で測ります。

  1. 椅子に深く座り、背もたれに背中をつける。足裏全体が床につき、膝の裏と座面の間に指が入る高さに座面を調整する。
  2. その状態で、床から座面の上面までの高さを測る。
  3. 肩の力を抜いて腕を下ろし、肘を軽く曲げる。床から肘の下端までの高さを測る。
  4. キーボードを置く天板の高さを測り、肘の高さと比べる。肘を90度以上に開いて手が自然に届く位置が目安。
  5. 床から目の高さを測り、画面の上端の高さと比べる。
  6. 目から画面までの距離を測り、40cm以上あるか確かめる。

測った結果は、次の表で対処を決めます。

測った結果起きやすいこと対処
天板が肘より高い肩が上がる椅子を上げ、足が浮く分を足台で補う
天板が肘よりかなり低い前かがみになる机の買い替えか高さ調整を検討
足裏が床につかない膝裏が圧迫される座面を下げるか足台を置く
画面の上端が目より上見上げる姿勢になる画面を下げる、本体の上に置かない
画面の上端がかなり下首が前に倒れるスタンドやアームで上げる
画面まで40cm未満目が疲れやすい画面を奥へ、文字を拡大する

ダイニングテーブルで仕事をする場合

ダイニングテーブルとダイニングチェアは、食事のための高さで作られています。まず天板の高さを測り、65〜70cmの目安や自分の肘の高さと比べてください。天板が高ければ、クッションで座面を上げ、足台で足裏を支えます。高さを変えられない椅子でどうしても合わない場合は、作業用の椅子を優先して検討します。

ポイント 指針は、高さを調整できる机では「椅子を最適な高さにしてから、机の高さを合わせる」順番を勧めています。机から先に決めると、椅子で足が浮く原因になります。

安く効く小物は?ノートPCスタンド・モニターアーム・足台

椅子や机を買い替える前に、比較的安価な小物で解決できることがあります。

ノートPCスタンドと外付けキーボード

ノートパソコンは画面とキーボードが一体です。指針の解説では、デスクトップ型より頭と手の位置の自由度が小さく、特定の姿勢を強いやすいと指摘しています。長時間使う場合は、外付けのディスプレイやキーボードの使用が望ましいとされています。

スタンドで画面を上げるなら、外付けキーボードとマウスは必ずセットにします。スタンドだけでは、手元が高くなり肩が上がります。

モニターアーム

外付けディスプレイの高さ・奥行き・角度を自由に動かせます。画面の上端を目の高さに合わせやすく、天板の奥行きも空きます。選ぶときは次を確認します。

  • 机の天板の厚みと形状に、クランプなどで固定できるか
  • 使う画面の重さとサイズが、アームの対応範囲に入っているか
  • 画面の裏に取り付け用のネジ穴があるか

足台(フットレスト)

指針は、必要に応じて「十分な広さがあり、すべりにくい足台」を備えるよう求めています。解説では、足台は足の疲れだけでなく、背中や腰の疲れを防ぐ効果もあるとしています。机が高くて椅子を上げた人には、最初に用意したい道具です。

パームレストと照明

指針の解説には、打鍵の際に腕や手首を乗せる支えがないと、肩のこりや痛みが増えるといわれるとの記載があります。手首が浮く人はパームレストを試す価値があります。手元が暗い部屋では、卓上照明で書類やキーボードの明るさを確保します。画面と周りの明るさの差は小さいほうが目の負担が少ないとされています。

注意 道具を整えても、同じ姿勢が何時間も続けば負担はたまります。しびれや、安静にしても軽くならない痛みがある場合は、整形外科を受診してください。

環境を整えたら、次は座りっぱなしを区切る習慣です。30分ごとに立つ目安と5分でできる体のほぐし方はデスクワークの腰痛・肩こりを防ぐ5分ルーティンで解説しています。休憩の入れ方は40代の仕事の集中術も参考にしてください。ホテルの机で作業することが多い人は、出張が多い40代の体調管理もあわせてどうぞ。

今日からやること

  1. 巻き尺で座面・肘・目の高さを測り、天板と画面の位置と比べる
  2. 足裏が浮くなら、今日は箱や厚い本で足台の代わりを作る
  3. ノートパソコン1台の人は、画面を上げて外付けキーボードで打つ形を試す
  4. 椅子の座面高・背もたれ・肘掛けを確認し、合わなければ椅子から見直す
  5. 昇降デスクは、30分ごとに立つ習慣を1週間試してから買うか決める

FAQよくある質問

Qダイニングテーブルとダイニングチェアで在宅勤務を続けても大丈夫ですか?

高さが合えば使えます。まず座って足裏が床につくか、肘の高さと天板の高さが近いかを測ります。机が高ければ椅子を上げて足台を置き、画面はノートPCスタンドで上げます。座面の高さを変えられない椅子で合わない場合は、作業用の椅子を検討します。

Q昇降デスクを買えば腰痛は防げますか?

防げるとは言えません。コクランレビューでは、昇降デスクで職場の座位時間が短期的に減ったものの、根拠の質は低いとされています。腰痛については小規模な試験が中心です。立つ・座るを切り替える習慣とセットで使う道具と考えてください。

Q椅子の座面高はカタログの数字で選べばいいですか?

そのままでは比べられません。厚労省の指針は、座ってクッションが2〜3cm沈んだ状態で37〜43cm程度に調整できることを目安にしています。一方、市販品の表示は沈む前の高さが一般的です。表示値の下限が目安より少し高めでも合う場合があります。

Qノートパソコン1台だけで仕事をしています。最初に何を買えばいいですか?

ノートPCスタンドと外付けキーボード・マウスの組み合わせが第一候補です。厚労省の指針も、ノート型で長時間作業する場合は外付け機器の使用が望ましいとしています。画面を目の高さに近づけ、手元はキーボードで操作できるようにします。

参考資料

  1. 情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン(令和元年7月12日、令和3年12月1日一部改正) 厚生労働省
  2. 自宅等でテレワークを行う際の作業環境整備 厚生労働省
  3. 自宅等でテレワークを行う際の作業環境整備イメージ 厚生労働省
  4. Workplace interventions for reducing sitting at work(Cochrane Database of Systematic Reviews, 2018) Shrestha N, et al.
  5. Device-measured stationary behaviour and cardiovascular and orthostatic circulatory disease incidence(International Journal of Epidemiology, 2024) Ahmadi MN, et al.