05 ROUTINE 習慣・朝活

ダイエットの習慣化に必要な期間は?66日の本当の意味と続く仕組み

習慣化の期間としてよく聞く「66日」は、Lally et al.(2010)で自動化までにかかった日数の中央値で、個人差は18〜254日でした。21日説に根拠はありません。ダイエットで習慣にすべき行動と2〜3か月を乗り切る手順を解説します。

更新
公開
読了
8分
編集
Business Athlete 編集部
体重計の横に置かれた丸印の並ぶ2か月分の卓上カレンダー、鉛筆を添えたノートとウォーキングシューズ

Key Pointsこの記事の要点

  1. 原典のLally et al.(2010)では、行動が自動化するまでの中央値は66日、個人差は18〜254日でした。
  2. 「21日で習慣になる」「体は3か月で新しい体重を覚える」といった説には、研究の裏付けがありません。
  3. 体重の記録や朝食など単純な行動から始め、平日と週末の食べ方をそろえることが減量の維持に役立ちます。
目次7
  1. ダイエットの習慣化に必要な期間は?
  2. 「21日で習慣になる」「3か月で体が覚える」は本当?
  3. ダイエットで習慣にすべき行動はどれ?
  4. 習慣化の手順は?目標から逆算して毎日の行動を決める
  5. 2〜3か月をどう乗り切る?時期ごとのつまずきと対策
  6. 記録アプリは使うべき?
  7. 今日からやること

ダイエットの行動が習慣になるまでの期間は、最初の目安として2か月以上を見込んでおくのが現実的です。よく引用される「66日」は、Lally et al.(2010)で新しい行動が自動的にできるようになるまでにかかった日数の中央値で、実際には18〜254日と大きな個人差がありました。「21日で習慣になる」という説には研究の裏付けがありません。体重の記録や朝食のような単純な行動から始め、1日抜けても翌日に戻すことを続ければ、期間の長さに振り回されずに済みます。

ダイエットの習慣化に必要な期間は?

結論は「人と行動によって大きく違うが、2か月以上はかかると考えておく」です。根拠になっている研究を、原典に沿って確認します。

原典のLally et al.(2010)で分かったこと

英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の研究チームが2010年に発表した研究では、96人の参加者が、食べる・飲む・体を動かす行動から健康によいものを1つ選び、「朝食後に水を1杯飲む」のように毎日同じ状況で行いました。参加者は84日間(12週間)、その行動がどれくらい自動的にできるようになったかを毎日自己評価しました。

結果の要点は次のとおりです。

項目結果
分析できた人数82人(変化の曲線がよく当てはまったのは39人)
自動化の上限の95%に達するまでの日数中央値66日
個人差18〜254日(84日を超える値は推計)
行動の種類による差運動は、飲み物や食事に比べて時間がかかる傾向
1回抜けた場合習慣化の進み方に大きな影響はなかった

66日は「平均すると66日で必ず習慣になる」という意味ではありません。半数の人はそれより長くかかっており、最長の254日は観察期間を超えた推計値です。

研究の限界も知っておく必要があります。自動化の度合いは参加者自身の評価であり、変化の曲線がうまく当てはまったのは39人と少人数でした。参加者の平均年齢も27歳と比較的若く、40代の会社員にそのまま当てはまるとは限りません。66日は「このくらいはかかることもある」という目安として受け止めるのが適切です。

その後の研究でも「2〜5か月」と幅がある

2024年に発表された、健康行動の習慣づくりに関する研究をまとめた報告(20研究、2,601人)でも、習慣になるまでの期間を示した研究は4件で、中央値は59〜66日、平均値は106〜154日、個人では4〜335日と大きくばらついていました。著者らは、習慣は2か月ほどで形になり始めるが、必要な時間は人によって大きく違うとまとめています。

「21日で習慣になる」「3か月で体が覚える」は本当?

どちらも、研究で確かめられた話ではありません。

21日説は、1960年に出版された自己啓発書『サイコ・サイバネティクス』の記述から広まったとされる数字です。2024年の報告の著者らは、自分たちの結果は「約21日で習慣になる」という通説を否定するもので、多くの健康行動では自動化に2〜5か月かかると述べています。

ダイエットの世界では「体は新しい体重を3か月で覚える」「3か月キープすればリバウンドしない」という話もよく見かけます。体には体温などを一定に保つ仕組み(恒常性)がありますが、「3か月で体重の基準が更新される」ことを示す研究は確認できませんでした。3か月という区切りは計画を立てる目安としては便利ですが、過ぎたら安心してよいという意味ではありません。

よくある誤解 「身体の習慣は3か月、思考の習慣は6か月」といった分類も根拠がはっきりしません。期間を気にするより、「同じ状況で繰り返した回数」を増やすことに意識を向けるほうが実際的です。

ダイエットで習慣にすべき行動はどれ?

結論は「毎日同じ形でできる、単純な行動」です。Lallyらの研究でも、運動は飲み物や食事に比べて自動化に時間がかかる傾向がありました。

減量後の体重を長く維持できている人を追跡した米国の登録研究では、維持できている人の多くが次のような行動を続けていると報告されています。

行動最初の一歩
体重を定期的に測って記録する起床後トイレを済ませたら体重計に乗る
朝食を毎日とる前夜にゆで卵やヨーグルトを用意しておく
平日と週末で食べ方をそろえる休日も朝食の時刻を平日と1時間以内にする
体をよく動かす(1日1時間程度)まずは通勤で一駅分歩く

この研究は「維持できた人がしていたこと」を調べたもので、これらの行動をすれば必ず痩せるという意味ではありません。ただ、どれも1日数分でできる単純な行動です。

食事の習慣と運動の習慣、どちらから始める?

迷ったら、食事や記録の習慣から始めることをおすすめします。Lallyらの研究では、水を飲むといった単純な行動は、運動よりも自動化が進みやすい傾向がありました。運動は着替える、場所を移る、時間を確保するといった手順が多く、どこか1つでつまずくと止まってしまいます。

体重の記録や朝食の内容を固定する習慣が身についてから、歩く量を増やすなど運動の習慣を足していくと、2つの習慣が同時に崩れるのを防げます。運動を先に始めたい人は、「朝食後に家の周りを10分歩く」のように、食事の習慣の直後に置くと続けやすくなります。

習慣の形にした減量の試験

習慣づくりの考え方を減量に取り入れた英国の試験では、習慣化のコツと簡単な食事・活動の助言、自己チェック用のリストをまとめた冊子を渡されたグループが、8週間で平均2.0kg減量しました。待機していた対照グループは0.4kgでした。複雑なプログラムでなくても、行動を習慣の形にすることで結果につながる可能性が示されています。

習慣化の手順は?目標から逆算して毎日の行動を決める

ダイエットの習慣づくりは、次の5つの手順で進めると迷いません。

  1. 最終ゴールを決める:「何のために、どんな状態を保ちたいか」を言葉にします。例:スーツのウエストに余裕がある体型を維持し、健康診断の再検査を受けずに済むようにする。
  2. 当面の数値目標と期限を決める:厚生労働省のe-ヘルスネットでは、体重の3〜4%程度の緩やかな減量でも検査値の改善が期待できるとしています。体重85kgなら約3kgです。これを3か月ほどかけて目指すと、無理のない計画になります。
  3. 毎日の行動を1〜2個に絞る:「毎朝体重を記録する」「夕食後に食べた物を3行メモする」のように、今の自分が少し意識すればできることにします。
  4. 今の習慣を書き出す:平日の起床から就寝までを30分刻みで書き出し、新しい行動を入れる場所を探します。予定が詰まったままでは、新しい行動は入りません。
  5. 時間を付け替える:寝る前のスマホを30分短くして食事の振り返りに充てるなど、何かを少し減らして新しい行動の時間をつくります。ゼロにせず、少し減らすのがポイントです。

手順4と5の書き出しは、たとえば次のようになります。

時刻今の行動付け替え後
6:30起床してすぐスマホでニュース体重を測って記録してからニュース
7:00朝食は食べたり食べなかったりゆで卵とヨーグルトを毎日同じように食べる
8:00最寄り駅まで車で送ってもらう週3日は駅まで歩く
22:30ベッドでスマホを1時間最初の5分で今日の食事を3行メモする

すべてを一度に変える必要はありません。表の中から1行だけを選び、それが定着してから次の行に進みます。

数値目標の立て方や1日の摂取量の考え方は 1日に必要なカロリーの計算方法 で詳しく説明しています。40代男性向けの食事と運動の全体像は 40代男性が痩せるには にまとめています。

2〜3か月をどう乗り切る?時期ごとのつまずきと対策

習慣化の期間中には、時期ごとに起きやすいつまずきがあります。先に知っておくと、崩れたときに慌てずに済みます。

時期起きやすいこと対策
1〜2週目やる気はあるが、つい忘れるきっかけを紙に書いて目に入る場所に貼る
3〜6週目体重が思ったほど減らず、意味を疑う見るのは結果ではなく「実行した日数」にする
出張・連休いつものきっかけがなくなり途切れる出張先用の最小版を決め、戻った翌日に再開する
7週目以降楽になるが、量を急に増やして崩れる増やすのは1つずつ、2週間ごとに見直す

減量プログラムの参加者への聞き取り調査では、習慣の多くは職場の流れの中でつくられ、週末や休暇には一時的に途切れても、仕事に戻ると再開できていました。途切れること自体は失敗ではありません。

ポイント e-ヘルスネットでは、できない日があっても落ち込まず、数日単位で調整する柔軟さが大切だとしています。会食で食べ過ぎた翌日は、次の食事から元に戻すことだけを考えます。

記録アプリは使うべき?

e-ヘルスネットでは、いつ、どんなときに、何を食べて、どう感じたかを記録すると課題が見えやすくなるとし、ヘルスケアアプリの活用も勧めています。

アプリを選ぶときは、次の3点を基準にします。

  1. 1日の入力が1〜2分で終わる(写真で記録できる、よく食べる物を登録できる)
  2. 体重計や歩数計と自動で連携し、手入力を減らせる
  3. 体重の推移を週単位のグラフで見られる

記録する項目は、最初は次の3つに絞ると負担になりません。

  1. 起床後の体重
  2. 決めた行動ができたかどうか(○か×)
  3. 予定外に食べた物や飲んだ物があれば、その場面(時刻と状況)

紙のノートやカレンダーでも構いません。大事なのは道具より、毎日同じタイミングで記録することです。記録を続けても食べ過ぎが止まらない人は、ダイエットの悪い習慣をやめる方法 で、きっかけを断つ方法を確認してください。

今日からやること

  1. 習慣にする行動を1つだけ選ぶ(迷ったら「起床後に体重を測って記録する」)
  2. 「〇〇したら△△する」の形で、きっかけと行動を紙に書いて洗面所に貼る
  3. 今の体重の3〜4%を計算し、3か月後の目標として手帳に書く
  4. 実行した日にだけ丸をつけ、体重より丸の数を見る
  5. 「2日続けて休まない」「出張中は最小版でよい」とルールを決めておく

FAQよくある質問

Qダイエットは何日続ければ習慣になりますか?

決まった日数はありません。日常の行動を毎日続けた研究では、自動化までの中央値は66日でしたが、18〜254日と個人差が大きく、運動は飲み物や食事より時間がかかる傾向でした。最初は2〜3か月を見込み、日数より繰り返しを重ねることを意識します。

Q66日続ければ、もう意識しなくても続きますか?

そうとは限りません。66日は研究参加者の中央値で、半数はそれより長くかかっています。また、研究で測ったのは「自動的にできる感覚」の自己評価です。66日を過ぎても、出張や繁忙期で崩れたときに戻る仕組みは残しておきます。

Q1日できなかったら、習慣化はリセットされますか?

リセットはされません。Lallyらの研究では、1回抜けても習慣化の進み方に大きな影響はありませんでした。ただし抜ける日が重なると、到達する自動化の度合いが下がる可能性が指摘されています。翌日に戻すことを最優先にします。

Qダイエットではどんな行動から習慣にすればいいですか?

毎朝の体重記録、朝食をとる、平日と週末で食べ方をそろえる、といった単純な行動がおすすめです。減量を長く維持できている人の多くがこうした行動を続けていると報告されています。複雑な食事制限より先に、毎日同じ形でできる行動を1つ選びます。

参考資料

  1. How are habits formed: Modelling habit formation in the real world European Journal of Social Psychology(Lally P, et al., 2010)
  2. Time to Form a Habit: A Systematic Review and Meta-Analysis of Health Behaviour Habit Formation and Its Determinants Healthcare(Singh B, et al., 2024)
  3. Healthy habits: efficacy of simple advice on weight control based on a habit-formation model International Journal of Obesity(Lally P, et al., 2008)
  4. Long-term weight loss maintenance American Journal of Clinical Nutrition(Wing RR, Phelan S, 2005)
  5. 肥満・メタボリックシンドローム予防の食事 厚生労働省 e-ヘルスネット