ダイエットの悪い習慣をやめる方法|「我慢」より「きっかけ」を断つ
ダイエットの悪い習慣は、我慢しようとするほどやめにくくなります。夜遅い食事、早食い、飲み過ぎ、睡眠不足など、40代の会社員に多い悪い習慣について、きっかけを見つけ、手間を増やし、別の行動に置き換える手順を研究と公的資料をもとに解説します。
Key Pointsこの記事の要点
- 悪い習慣は「やめよう」と考え続けるほど頭から離れにくくなります。抑え込むより、別の行動に置き換えます。
- 時刻・場所・気分・直前の出来事を1週間記録すると、悪い習慣を引き起こすきっかけが見えてきます。
- 早食い・飲み過ぎ・睡眠不足は、体重や食欲との関係が研究で示されています。40代はこの3つから見直します。
目次7
ダイエットの悪い習慣をやめるには、「やめよう」と我慢するより、その行動を引き起こす「きっかけ」を見つけて断ち、別の行動に置き換えるほうが現実的です。考えを抑え込もうとすると、かえってその考えが浮かびやすくなることが実験で示されているからです。40代の会社員なら、早食い、飲み過ぎと飲み会後の締め、睡眠不足の3つから見直すと、食べ過ぎを減らしやすくなります。
なぜ悪い習慣はやめられない?
理由は大きく2つあります。
気持ちよさがすぐ手に入り、害は後から来る
甘い物を食べる、スマホを眺める、二度寝をする。どれも気持ちよさがその場ですぐに得られます。一方、体重が増える、睡眠が乱れるといった害は、何週間も先にしか表れません。人はすぐ手に入る気持ちよさを優先しやすいため、悪い習慣は特に努力しなくても身についてしまいます。
筆者自身、朝の散歩を習慣にしようとした時期に、二度寝の心地よさに何度も負けました。散歩から帰った後のすっきりした感覚は知っていても、布団の中の気持ちよさのほうが「今すぐ」手に入るからです。
「やめよう」と考えるほど頭から離れなくなる
「白いクマのことを考えないでください」と言われると、かえって白いクマが頭に浮かびます。1987年に発表された実験では、白いクマについて考えないよう指示された人は、その考えを抑えきれませんでした。さらに、その後で考えてよいと言われると、最初から考えてよいと言われた人より多く白いクマのことを考えていました。
同じ実験では、抑え込む代わりに「別の具体的なことを考える」よう指示された人は、後で考えが戻ってきにくいことも示されています。「お菓子を食べない」と念じるより、「お菓子が欲しくなったらお茶を淹れる」と別の行動を決めておくほうが理にかなっています。
ダイエットの邪魔をする悪い習慣は?
40代の会社員に多く、体重との関係が指摘されているものを整理しました。
| 悪い習慣 | 何が問題か | 置き換え例 |
|---|---|---|
| 早食い | 速く食べる人ほどBMIが高い傾向 | 一口ごとに箸を置く |
| 満腹まで食べる | 早食いと重なるとBMIが最も高い傾向 | ご飯を最初から少なめに盛る |
| 飲み過ぎ | 男性は1日平均40g以上で生活習慣病のリスク上昇 | 1杯ごとに水を1杯挟む |
| 飲み会後の締め | 夜遅くに高カロリーな食事が加わる | 締めの代わりに温かいお茶で帰る |
| 睡眠不足 | 空腹感が増え、高カロリーな物が欲しくなる | 就寝時刻を15分早めるところから |
| 帰宅後のだらだら食べ | 量を把握しないまま食べ続ける | 食べる分を皿に出し、袋はしまう |
早食いと「満腹まで食べる」
e-ヘルスネットによると、35〜69歳の成人を対象にした愛知県の調査では、速く食べる人ほど現在のBMIが高く、20歳からの増加量も大きい傾向がありました。摂取エネルギー量や年齢、喫煙、飲酒などの影響を考慮しても、この関係は残っています。別の調査では、早食いと「お腹いっぱい食べる」の両方に当てはまる人で、BMIが最も高くなっていました。
厚生労働省は一口30回噛むことを勧めていますが、毎回数えるのは現実的ではありません。一口ごとに箸を置く、会議の合間に5分で昼食を済ませない、といった工夫から始めます。
飲み過ぎ
厚生労働省の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」では、生活習慣病のリスクを高める飲酒量を、1日平均の純アルコール量で男性40g以上としています。アルコール度数5%のビール500mlで純アルコールは約20gです。中ジョッキ2〜3杯にハイボールを足せば、40gは簡単に超えます。
睡眠不足
健康な若い男性12人を対象にした実験では、睡眠を2晩短くすると、食欲を抑えるホルモン(レプチン)が平均18%減り、食欲を高めるホルモン(グレリン)が28%増え、空腹感が24%強まりました。糖質の多い高カロリーな食べ物への欲求は33〜45%高まっています。人数の少ない短期の実験ですが、夜更かしの翌日に甘い物が欲しくなる感覚とも合う結果です。睡眠時間の目安は 40代男性の睡眠時間 を参考にしてください。
やめる手順は?まずは「きっかけ」を見つける
悪い習慣には、ほぼ必ず決まったきっかけがあります。次の手順で見つけていきます。
- 1週間記録する:悪い習慣をした時刻、場所、気分、直前の出来事をメモします。やめようとせず、まずは記録だけにします。
- 共通点を探す:「21時以降に自宅のソファで」「会議で詰められた日の帰り道に」のように、時刻・場所・気分の重なりを探します。
- きっかけを避けられるか考える:帰り道のコンビニに寄ってしまうなら、コンビニの前を通らない道を選ぶだけで済むこともあります。
- 避けられないきっかけには代わりの行動を決める:「帰宅してソファに座ったら、まず温かいお茶を淹れる」のように、同じきっかけで別の行動をすると決めます。
- 2週間ごとに見直す:代わりの行動が合わなければ別のものに替えます。
記録してみると、悪い習慣の多くは空腹ではなく、疲れや手持ち無沙汰がきっかけになっていることに気づくことが少なくありません。
代わりの行動はどう選ぶ?
代わりの行動は、悪い習慣が満たしていた「目的」を別の形で満たすものを選びます。疲れを癒やしたくて甘い物を食べているのに、代わりに腹筋をしても長続きしません。
| きっかけ | 悪い習慣が満たしていたもの | 代わりの行動の例 |
|---|---|---|
| 仕事の疲れ | ほっとする時間 | 温かいお茶を淹れて5分座る |
| 手持ち無沙汰 | 口寂しさ・暇つぶし | 炭酸水を飲む、ガムをかむ |
| 強いストレス | 気分の切り替え | 外の空気を吸いに5分歩く |
| 1日のごほうび | 自分へのねぎらい | 好きな入浴剤で湯船に浸かる |
選ぶときの条件は3つです。5分以内で終わること、悪い習慣と同じ場所ですぐできること、そして自分にとって少しでも心地よいことです。代わりの行動が苦痛だと、元の習慣に戻るのは時間の問題です。
「全部やめる」より「量と条件を決める」
晩酌や間食をきっぱりやめられれば理想ですが、それ自体が続かない原因になることもあります。「平日は缶ビール1本まで」「お菓子は週末に1袋だけ」のように、量と条件を決めて残すのも立派な方法です。条件が具体的であるほど、守れたかどうかを判断しやすくなります。
「めんどくさい」を味方につけるには?
悪い習慣は手軽にできるから続き、良い習慣は手間がかかるから続きません。この性質を逆に利用します。悪い習慣には手間を足し、良い習慣からは手間を引きます。
悪い習慣の手間を増やす
- スナック菓子や甘い物は買い置きしない。家族用は、ふた付きの不透明な容器に入れて棚の奥へ
- 寝室にスマホを持ち込まない。充電場所をリビングに決める
- 職場の引き出しのお菓子は、ナッツや個包装の小魚などに入れ替える
- 自宅の冷蔵庫に缶ビールを冷やしておく本数を決める
良い習慣の手間を減らす
- 水やお茶のボトルを、デスクと冷蔵庫の一番手前に置く
- 翌朝のウォーキング用の服を、前夜に枕元へ用意しておく
- 会食の多い週は、昼食を定番の組み合わせに固定して迷わない
意志の力で選び続けるより、選ぶ場面そのものを減らすほうが長続きします。
衝動が来たときはどうする?
きっかけを避けても、食べたい、飲みたいという衝動はやってきます。そのときのために、次の3つを用意しておきます。
- if-thenプランを決めておく:「甘い物が欲しくなったら、まず水を1杯飲む」「2軒目に誘われたら、明日の朝が早いと伝えて帰る」と、場面と行動をセットで決めます。
- 10分だけ待つ:衝動には波があり、ピークを越えると弱まることがあります。タイマーをかけ、その間に別の作業をします。
- 呼吸に意識を向ける:食べたい気持ちを否定せず、体の感覚として観察する方法です。
3つ目はマインドフルネスの考え方です。21の研究をまとめた報告では、マインドフルネスを取り入れた取り組みで、むちゃ食いや感情による食べ過ぎ、目の前の食べ物につられて食べる行動が改善した研究が多く見られました。ただし研究の規模や方法はさまざまで、体重がどれだけ減るかまで確かめられたわけではありません。やり方は マインドフルネスダイエットとは で紹介しています。
受診の目安 食べ始めると止まらない状態が週に何度も続く、食べた後に強い自己嫌悪がある、ストレスで飲酒量が増え続けている場合は、習慣の問題だけではない可能性があります。かかりつけ医や心療内科に相談してください。
会食・飲み会が多い人はどうする?
仕事上の会食や飲み会は、断り続けるわけにはいきません。会食そのものではなく、その前後の行動を変えるのが現実的です。
- 会食の日も昼食は抜かない(強い空腹のまま店に入ると、最初の料理を勢いよく食べがちです)
- 乾杯の後は、アルコール1杯ごとに水かお茶を1杯頼む
- 締めのラーメンや2軒目は「行かない理由」を先に用意しておく
- 帰宅後に冷蔵庫を開けない。歯を磨いてから玄関を上がるくらいの順番を決める
店選びや注文の順番など、会食中の具体策は 会食・飲み会が多い40代の太らない食べ方 にまとめています。食べ過ぎ自体が続かない原因になっている人は、ダイエットが続かない原因 もあわせて確認してください。
今日からやること
- やめたい習慣を1つ選び、1週間は記録だけする(時刻・場所・気分・直前の出来事)
- 自宅と職場から、すぐ手に取れるお菓子を1か所だけ片づける
- 「〇〇が欲しくなったら、まず△△する」という代わりの行動を1つ決める
- 今夜はスマホをリビングで充電し、いつもより15分早く寝る
- 次の飲み会では、アルコール1杯ごとに水を1杯頼む
FAQよくある質問
Q悪い習慣をやめるには、強い意志で我慢するしかありませんか?
我慢だけに頼るのはおすすめしません。特定の考えを抑え込もうとすると、かえってその考えが浮かびやすくなることが実験で示されています。悪い習慣のきっかけを避ける、手間を増やす、代わりの行動を決めておく、という組み合わせのほうが現実的です。
Q夜にお菓子を食べる習慣がやめられません。何から始めればいいですか?
まずは1週間、食べた時刻・場所・気分・直前の出来事をメモしてください。「帰宅して座った直後」「仕事のメールを見た後」などの共通点が見えたら、その場面で代わりにする行動(温かいお茶を淹れる、歯を磨くなど)を決め、お菓子は買い置きしないようにします。
Q睡眠不足は本当にダイエットに関係しますか?
関係する可能性があります。健康な若い男性を対象にした実験では、2晩睡眠を短くしただけで、食欲を抑えるホルモンが減り、食欲を高めるホルモンが増え、空腹感が強まりました。特に糖質の多い高カロリーな食べ物への欲求が高まっています。
Q飲み会が多くても悪い習慣は直せますか?
直せます。飲み会そのものをやめるより、締めのラーメンや2軒目といった「飲み会の後の行動」を置き換えるほうが取り組みやすいです。厚生労働省の飲酒ガイドラインでは、男性は1日平均の純アルコール量40g以上で生活習慣病のリスクが高まるとしています。
参考資料
- Paradoxical effects of thought suppression Journal of Personality and Social Psychology(Wegner DM, et al., 1987)
- Sleep curtailment in healthy young men is associated with decreased leptin levels, elevated ghrelin levels, and increased hunger and appetite Annals of Internal Medicine(Spiegel K, et al., 2004)
- 速食いと肥満の関係 -食べ物をよく「噛むこと」「噛めること」 厚生労働省 e-ヘルスネット
- 健康に配慮した飲酒に関するガイドラインについて 厚生労働省
- Mindfulness-based interventions for obesity-related eating behaviours: a literature review Obesity Reviews(O'Reilly GA, et al., 2014)