ケトジェニックダイエットのやり方|40代男性が始める前の注意点
ケトジェニックダイエットは糖質を1日50g程度以下に抑え、脂質を主なエネルギー源にする食事法です。体重は落ちやすい一方、脂肪の減り方は他の方法と大差ないとする研究もあります。持病や服薬がある人は医師への相談が前提です。
Key Pointsこの記事の要点
- 糖質を大きく減らすと、肝臓で脂肪からケトン体が作られる。最初の急な体重減少には水分の減少も含まれる。
- 糖尿病の薬、とくにSGLT2阻害薬を使っている人は、極端な糖質制限でケトアシドーシスの危険がある。必ず主治医に相談する。
- 始めるなら期間を決め、野菜と魚を軸に組み立てる。健康診断の脂質や尿酸の数値も確認する。
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ケトジェニックダイエットは、糖質を1日20〜50g程度まで大きく減らし、脂質を主なエネルギー源にする食事法です。始めると体重は早く落ちやすいものの、体脂肪の減り方は他の方法と大きくは変わらないという研究もあります。**持病がある人や薬を飲んでいる人は、自己判断で始めず主治医に相談してください。**それを前提に、40代の会社員が無理なく試すための手順と注意点をまとめます。
ケトジェニックダイエットとは?糖質を大きく減らし脂質を主な燃料にする方法
体はふだん、ご飯やパンなどの糖質から作られるブドウ糖を主な燃料にしています。糖質を大きく減らすと、肝臓が脂肪酸から「ケトン体」という物質を作り、脳や筋肉がそれを燃料として使うようになります。この状態を「ケトーシス」と呼び、ケトーシスを狙って食事を組むのがケトジェニックダイエットです。
一般的な糖質制限との違いは、制限の強さです。
| 方法 | 1日の糖質の目安 | 主食の扱い |
|---|---|---|
| ゆるい糖質制限 | 夕食など1食だけ主食を減らす | 1日1〜2食は普通に食べる |
| 一般的な糖質制限 | 1日130g未満などとされることが多い | 量を大きく減らす |
| ケトジェニック | 1日20〜50g程度 | ほぼ食べない |
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、生活習慣病予防のための炭水化物の目標量はエネルギーの50〜65%です。ケトジェニックダイエットはこの目安から大きく外れる食べ方だと理解したうえで、期間を区切って試すものと考えてください。
本当に脂肪が早く落ちる?研究でわかっていること
始めた直後に体重がストンと落ちるのは事実です。ただし、その一部は糖質とともに筋肉や肝臓に蓄えられていた水分が抜けた分です。体脂肪がそれだけ減ったわけではありません。
体脂肪の落ち方については、次のような研究があります。
- 米国の研究で、肥満傾向の男性17人を代謝病棟に入院させ、摂取エネルギーを同じにしたまま通常の食事からケトジェニック食に切り替えた。消費エネルギーはわずかに増えたが、体脂肪の減るペースは速まらず、むしろ緩やかになった
- 米国で609人を12か月追った臨床試験(DIETFITS)では、質に配慮した低糖質食と低脂質食の体重減少に有意な差はなかった
つまり「ケトジェニックだから特別に脂肪が燃える」という根拠は十分ではありません。合う人にとっての利点は、主食や甘い物をはっきり断つことで食べる量が自然に減りやすい点にあります。
よくある誤解 「脂質はいくら食べてもいい」は誤りです。脂質は1gあたり約9kcalと、糖質やたんぱく質(約4kcal)の2倍以上あります。総摂取エネルギーが多ければ体重は減りません。
向いている人・向いていない人
研究結果をふまえると、ケトジェニックダイエットが合うかどうかは「続けられるか」でほぼ決まります。
- 向いている人:主食や甘い物を少し減らすより、はっきりやめるほうが楽な人。肉・魚・卵・野菜中心の食事が苦にならない人
- 向いていない人:会食や出張が多く、店や料理を選べない人。ご飯やパンがないと満足できない人。食費を増やしたくない人
迷う場合は、まず夕食の主食だけを減らす「ゆるい糖質制限」から試し、体調と体重の変化を見てから判断しても遅くありません。
始める前に確認:持病がある人・服薬中の人は自己判断で始めない
ケトジェニックダイエットは、健康な人でも体への負担が小さくない食事法です。次に当てはまる人は、始める前に必ず主治医に相談してください。
糖尿病の薬を使っている人
日本糖尿病学会は、SGLT2阻害薬という糖尿病の薬を使う人で、インスリンの中止や極端な糖質制限などをきっかけにケトアシドーシスが起きていると注意を呼びかけています。血糖値が正常に近くても起こることがあり、重症になると命にかかわります。SGLT2阻害薬は心不全や慢性腎臓病の治療で使われることもあるため、糖尿病でなくても薬の名前を確認してください。
また、インスリンや一部の飲み薬(SU薬など)を使っている人が急に糖質を減らすと、低血糖を起こすおそれがあります。
その他、相談が必要な人
- 腎臓病・肝臓病がある人、膵炎や胆のうの病気になったことがある人
- 健康診断でLDLコレステロールや尿酸値が高いと言われている人(脂質の多い食事や糖質の強い制限で上がることがある)
- 高血圧や心臓病で薬を飲んでいる人
- 摂食障害の経験がある人
受診の目安 実践中に強いだるさ、吐き気・嘔吐、腹痛、息苦しさが出たら、中止して医療機関を受診してください。SGLT2阻害薬を使っている人は、とくに早めの受診が必要です。
健康な人でも、始めて数日〜2週間ほどは頭痛やだるさ、集中力の低下が出ることがあります。重要なプレゼンや出張が続く週は避け、仕事が落ち着いている時期に始めるのが無難です。
40代男性のやり方は?3ステップと1日の食事例
ステップ1:期間と目標を決める
まず「2〜4週間」など期間を区切ります。開始前の体重と腹囲、直近の健康診断の数値(LDLコレステロール、中性脂肪、尿酸、肝機能、腎機能)を手元に控えておくと、続けるかどうかを判断しやすくなります。
ステップ2:糖質の多い食品を置き換える
主食・いも類・甘い物・果物・ジュース・ビールや日本酒などの糖質の多いお酒を減らし、次のような食品に置き換えます。
- たんぱく質:鶏肉、豚肉、牛肉、鮭やさばなどの魚、卵、豆腐、納豆
- 野菜:ブロッコリー、ほうれん草、小松菜、きのこ類、海藻、アボカド
- 脂質:オリーブオイル、魚の脂、ナッツ、チーズ(量は控えめに)
肉ばかりにせず、魚と野菜を毎食入れるのがポイントです。食物繊維が不足すると便秘になりやすいため、きのこと海藻は意識してとってください。
見落としやすいのは、野菜や調味料に含まれる糖質です。かぼちゃ、じゃがいも、さつまいも、れんこん、とうもろこしは糖質が多いため、ケトジェニック中は量を控えます。春雨やカレーのルウ、すき焼きのたれ、焼き肉のたれ、みりんを使った甘い味付けにも注意が必要です。
ステップ3:1日の食事を組み立てる
会社員の平日を想定した例です。量は体格や活動量で調整してください。
| 食事 | 例 |
|---|---|
| 朝 | ゆで卵2個、ほうれん草のおひたし、ブラックコーヒー |
| 昼 | コンビニのサラダチキン、ブロッコリーとゆで卵のサラダ、具だくさんの味噌汁 |
| 夜 | 焼き鮭か鶏もも肉のソテー、きのこと野菜の炒め物、豆腐の味噌汁 |
食事は記録アプリで1週間ほど記録すると、思わぬところから糖質をとっていることに気づけます。調味料(ケチャップ、甘い味付けのたれ)や「健康そうな」スムージーにも糖質は多く含まれます。
外食・コンビニで選ぶなら
昼食や会食でも、選び方を決めておけば続けられます。
- 定食屋:焼き魚や生姜焼きの定食を、ご飯なしか少なめで頼み、小鉢を1品足す
- コンビニ:サラダチキン、ゆで卵、具だくさんのスープ、カット野菜、無糖のヨーグルト
- 居酒屋:刺身、焼き鳥の塩、冷ややっこ、枝豆は少量、焼き魚。締めの麺やご飯は頼まない
- お酒:ビールや日本酒、甘いカクテルは糖質が多い。飲む場合も量を決め、合間に水を飲む
コンビニの商品は栄養成分表示に「炭水化物」または「糖質」の量が書かれています。最初の1〜2週間は、表示を見て選ぶ習慣をつけると感覚がつかめます。
やめるとき・戻すときの注意
期間が終わったら、主食を1日1食から少しずつ戻します。いきなり元の量に戻すと、食べ過ぎにつながりやすくなります。戻した直後に体重が1〜2kg増えることがありますが、多くは体に水分が戻った分です。ここで慌てて再び極端な制限に戻らず、1か月ほどの推移で判断してください。その後は、主食を普通盛りの半分程度にする「ゆるい糖質制限」や、脂質を抑える方法に切り替えると続けやすくなります。
筆者が実践してわかったこと
筆者自身もケトジェニックダイエットを実践したことがあります。始めて1週間ほどで、鏡を見て体が引き締まったと感じました。最初の1か月で体重は約4kg減りましたが、先に書いたとおり、この中には水分の減少も含まれていたはずです。
一方で、食費はダイエット前の2倍近くに増えました。主食を肉・魚・野菜に置き換えると、どうしても費用がかさみます。コンビニやランチの店では選べるものが少なく、昼食選びに悩む日もありました。始めたばかりの頃は、仕事中に頭がぼんやりする感覚もありました。
当時の1日の野菜は、ブロッコリー1株、しめじ1袋、アボカド1個、にんじん半分ほどを目安にしていました。朝はブラックコーヒーにMCTオイルを5mLほど入れて飲んでいましたが、これはあくまで筆者の習慣です。MCTオイルで脂肪が燃えやすくなると言える根拠は十分ではありません。
この経験から言えるのは、ケトジェニックダイエットは「費用」と「仕事への影響」を見込んだうえで、期間を決めて試す方法だということです。長く続けるなら、脂質を抑える方法と比べて自分に合うほうを選ぶのが現実的です。比較は「ローファットダイエットのやり方」と「40代男性が痩せるには」を参考にしてください。健康診断の数値の読み方は「40代の健康診断結果の見方」にまとめています。
今日からやること
- 飲んでいる薬の名前を確認し、治療中なら次の受診で主治医に相談する
- 直近の健康診断の結果を出し、LDLコレステロール・中性脂肪・尿酸・肝機能・腎機能の数値を控える
- 始める場合は「2〜4週間」など期間を決め、仕事が落ち着いている週から始める
- 主食と甘い飲み物を、魚・卵・野菜・きのこ・海藻に置き換えた3食の献立を1日分作る
- 体重は毎朝、腹囲は週1回測り、強いだるさや吐き気が出たら中止して受診する
FAQよくある質問
Qケトジェニックダイエットは普通の糖質制限と何が違いますか?
糖質を減らす点は同じですが、ケトジェニックダイエットは糖質をさらに強く抑え、一般に1日20〜50g程度まで減らします。その分のエネルギーを脂質でとり、体がケトン体を主な燃料として使う状態を目指す点が違います。
Q持病があったり薬を飲んでいたりしても始めてよいですか?
自己判断で始めないでください。糖尿病の薬は低血糖やケトアシドーシスの原因になることがあり、腎臓病・肝臓病・膵炎・脂質異常症・痛風などがある人も悪化のおそれがあります。治療中の人や薬を飲んでいる人は、必ず主治医に相談してから決めましょう。
Q始めてすぐに体重が落ちるのは脂肪が燃えているからですか?
最初の数日の急な減少には、糖質とともに体に蓄えられていた水分が減る分が含まれます。体脂肪の減り方は、総摂取エネルギーが同じなら他の食事法と大きな差はないとする研究があります。数週間単位の推移で判断しましょう。
Qどのくらいの期間続ければよいですか?
長期の安全性は十分に確かめられていないため、最初は2〜4週間など期間を区切るのが無難です。続ける場合は健康診断や血液検査でLDLコレステロールや尿酸、腎機能などの数値を確認し、医師に相談しながら判断してください。
参考資料
- 糖尿病治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation 日本糖尿病学会
- Energy expenditure and body composition changes after an isocaloric ketogenic diet in overweight and obese men(Am J Clin Nutr 2016) PubMed
- Effect of Low-Fat vs Low-Carbohydrate Diet on 12-Month Weight Loss in Overweight Adults: The DIETFITS Randomized Clinical Trial(JAMA 2018) PubMed
- 日本人の食事摂取基準(2025年版)策定検討会報告書 厚生労働省
この記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療に代わるものではありません。持病のある方、服薬中の方、体調に不安のある方は、医師などの専門家に相談してください。