睡眠の質を上げる服装は?メンズパジャマの選び方と夏・冬の素材の目安
睡眠の質を上げる服装は、締め付けがなく、汗を吸って蒸れにくく、寝室の温度に合ったものです。厚生労働省の睡眠ガイド2023と寝衣の素材の研究をもとに、メンズパジャマを選ぶ5つの基準と、夏・冬の素材の目安、寝室の温度の整え方を解説します。
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Key Pointsこの記事の要点
- 睡眠ガイド2023は、リラックスできる寝衣・寝具で眠ることが良い睡眠につながるとしている。
- 選ぶ基準は、締め付けがない、汗を吸って蒸れにくい、寝返りしやすい、季節の室温に合う、洗いやすいの5つ。
- 素材で寝つきが変わったとする研究はあるが小規模で、寝室の温度管理と組み合わせて考えるのが現実的だ。
睡眠の質を上げる服装は、締め付けがなく、汗を吸って蒸れにくく、寝室の温度に合ったものです。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」も、リラックスできる寝衣・寝具で眠ることが良い睡眠につながるとしています。「パジャマでなければならない」という決め手になる研究はありませんが、寝るための服に着替えることは、仕事モードから切り替える合図にもなります。この記事では、メンズパジャマを選ぶ基準と、季節ごとの素材の目安をまとめます。
睡眠の質を上げる服装は?
結論は「体温の調節と寝返りを邪魔しない服」です。理由は、眠りと体温の関係にあります。
睡眠ガイド2023によると、体の内部の温度(深部体温)は日中に上がり、夜の睡眠中に下がります。就寝前に手足の皮膚の血流が増えて熱が外に逃げ、深部体温が下がり始めると眠りに入りやすくなります。寝ている間も、人は汗をかき、寝返りを打ちながら体温を調節しています。
そのため、寝るときの服には次の働きが求められます。
- 汗を吸い、湿気をこもらせない
- 季節や室温に対して、暑すぎず寒すぎない
- 寝返りのときに突っ張ったり、ねじれたりしない
- 肌ざわりがよく、リラックスできる
仕事着のまま、あるいは外出用のジャージのまま寝てしまう日が続いているなら、まずは「寝るための服」に着替える習慣から始めましょう。帰宅後の流れの中に入浴と着替えを組み込むと、就寝前の切り替えがしやすくなります。入浴のタイミングは入浴の時間帯の記事で解説しています。
在宅勤務の日こそ着替える
在宅勤務が増え、朝から晩まで同じスウェットで過ごす人も少なくありません。睡眠ガイド2023は、規則正しい生活で日中の活動と夜の休息にメリハリをつけることが、睡眠の質を高めると説明しています。服装はそのメリハリをつくる手軽な道具です。
在宅勤務の日も、朝は仕事用の服に着替え、夜は入浴後にパジャマに着替える。この2回の着替えを「始業」と「終業」の合図にすると、夜遅くまでだらだらとメールを見続けることを防ぎやすくなります。
パジャマとスウェット、Tシャツは何が違う?
寝るときの服装を比べると、それぞれ次のような特徴があります。どれが睡眠に最もよいかを直接比べた確かな研究は見当たらないため、特徴を理解して選ぶのが現実的です。
| 服装 | よい点 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| パジャマ(上下セパレート) | 寝るための設計で、ゆとりがあり寝返りしやすい | 素材によって吸湿性や保温性が大きく違う |
| スウェット・ジャージ | 部屋着と兼用でき、動きやすい | 袖口や裾のゴムがきついもの、化学繊維中心で蒸れやすいものがある |
| Tシャツと短パン | 夏は手軽で涼しい | 冷房で冷えやすい。古いTシャツは首回りが伸びて落ち着かないことも |
| 下着のみ・裸 | 締め付けがない | 汗を吸う布がなく、寝具が汚れやすい。冷えやすい |
パジャマの利点は、寝るときのために作られている点です。ゆとりのある身幅、肌当たりのやわらかい縫製、寝返りを妨げにくい形など、睡眠中の動きを前提にしています。
メンズパジャマを選ぶ5つの基準は?
パジャマを選ぶときは、次の5つを順番に確かめます。
1. 締め付けがなく、寝返りしやすいか
ウエストや袖口、裾のゴムがきつくないかを確認します。ゆとりが大きすぎても、布が体にまとわりついて寝返りの邪魔になります。上下が分かれたセパレートタイプは、寝ている間に裾がめくれにくく動きやすい形です。フードや大きな飾りボタンは、仰向けや横向きになったときに当たって気になることがあります。
通販で買う場合は、ふだん着ているシャツのサイズだけで決めず、身幅、着丈、股下の寸法を確かめます。手持ちのパジャマや部屋着で寝心地のよいものを平置きで測り、同じくらいの寸法のものを選ぶと失敗が減ります。お腹回りが気になる人は、ウエストがゴムだけでなくひもで調節できるタイプが便利です。
2. 汗を吸い、蒸れにくい素材か
一般的に、綿や麻などの天然繊維は吸湿性が高く、ポリエステルなどの合成繊維は乾きやすい反面、吸湿性は低めです。寝汗をかきやすい人は、少なくとも肌に触れる面が綿のものを選ぶと快適です。
3. 季節と寝室の温度に合っているか
同じ綿でも、織り方や厚みで着心地は大きく変わります。季節ごとの目安は次のとおりです。
| 季節 | 向いている素材・生地 | 特徴 |
|---|---|---|
| 夏 | 綿、麻、綿麻混、ガーゼ、しじら織り、サッカー生地 | 凹凸のある生地は肌に張り付きにくく、通気性がよい |
| 春・秋 | 綿の天竺やスムース、二重ガーゼ | 1枚で調節しやすい |
| 冬 | フランネル、キルト、ニット、三重ガーゼ | 空気の層で保温する。肌側が綿のものは蒸れにくい |
4. 肌ざわりがよいか
洗濯後のごわつきや、縫い目、タグの当たりが気になると、寝つくまでの間に意識が向いてしまいます。ガーゼ生地は洗うほどやわらかくなるとされ、肌が敏感な人に選ばれることが多い素材です。
5. 洗い替えができ、手入れしやすいか
寝ている間は毎晩汗をかきます。家庭の洗濯機で洗えて、乾きやすいものを2〜3組そろえると、清潔な状態を保ちやすくなります。
ポイント 迷ったら「綿100%または綿が多い混紡」「上下セパレート」「ウエストがゴムとひもの併用」の3点で選ぶと、大きく外れることはありません。
素材で睡眠は変わる?研究でわかっていること
寝衣の素材と睡眠の関係を、睡眠の脳波で調べた研究はまだ多くありません。代表的なのは、オーストラリアのシドニー大学の研究グループによる2つの研究です。
- 健康な若い成人17人を対象にした研究(2016年):室温17℃と22℃で、綿とウールの寝衣を比べました。ウールの寝衣は綿より寝つくまでの時間が短く、特に17℃でその差が見られました。また、22℃より17℃の条件のほうが深い睡眠の割合が多いという結果でした。
- 50〜70歳の36人を対象にした研究(2019年):室温30℃で、綿、ポリエステル、ウールの寝衣を比べました。ウールで小さいながら統計的に有意な改善が見られ、65歳以上ではウールの寝つくまでの時間が12.4分、綿が26.7分でした。
ただし、どちらも参加者が少なく、羊毛業界団体(Australian Wool Innovation)の資金提供を受けた研究です。「ウールのパジャマで眠れるようになる」と言える段階ではありません。むしろこれらの研究からは、素材の違いより、室温などの温度環境が睡眠に影響することが読み取れます。パジャマは寝室の温度管理とセットで考えましょう。
化学繊維のパジャマは避けるべき?
避ける必要はありません。2019年の研究でも、綿とポリエステルの間に睡眠の差ははっきりとは出ていません。ポリエステルなどの合成繊維は乾きやすく、しわになりにくいので、洗い替えや出張には便利です。綿とポリエステルの混紡や、肌側に綿を使った生地なら、両方の長所を取り入れられます。
大切なのは、着てみて「暑い」「蒸れる」「チクチクする」と感じないかどうかです。素材の表示より、実際に一晩寝たときの感覚を優先しましょう。
夏と冬の寝室はどう整える?
睡眠ガイド2023は、寝室の温度について次のように説明しています。
- 夏は、寝室の室温が上がると睡眠時間が短くなり、睡眠の効率が下がる。エアコンで涼しく保つことが重要
- 冬は、寝具を十分に使って寝床の中が暖かく保たれていれば、睡眠への影響は少ない
- 冬は、就寝前に過ごす部屋が寒いと寝つくまでの時間が長くなるため、寝る前はなるべく暖かい部屋で過ごす
- 夜中のトイレや早朝に急な寒さにさらされると血圧が急上昇するおそれがある。WHOは冬の室温を18℃以上に保つことを勧めている
夏は「薄手のパジャマ+エアコン」、冬は「保温性のあるパジャマ+十分な寝具+寒すぎない部屋」という組み合わせが基本です。冬に厚着をしすぎると、寝床の中で汗をかいて蒸れ、かえって目が覚めることがあります。
注意 冬場に夜中のトイレで寒い廊下に出る人は、ベッドのそばに羽織れるものを置いておきましょう。40代以降は血圧の急な変化にも気を配りたい年代です。
出張先のホテルではどうする?
ホテル備え付けのナイトウェアは、サイズが合わなかったり、浴衣の前がはだけて落ち着かなかったりすることがあります。出張が多い人は、薄手で乾きやすいパジャマを1組、出張用の荷物に入れておくと、自宅に近い条件で眠れます。移動が多い時期の体調管理は出張が多い人の体調管理の記事にまとめています。
寝る前に体をほぐす習慣を組み合わせたい人は、寝る前のストレッチの記事も参考にしてください。睡眠時間そのものの目安は、40代男性の睡眠時間の記事で解説しています。
今日からやること
- 今夜から、部屋着や外出着ではなく「寝るための服」に着替えてから寝る
- 手持ちの寝間着の袖口・裾・ウエストのゴムがきつくないか確かめる
- 夏は寝室をエアコンで涼しく、冬は寝る前に過ごす部屋を寒くしすぎない
- パジャマを買い替えるときは、綿が多く、上下セパレートで、洗い替えできるものを2組選ぶ
- 出張用の荷物に、薄手のパジャマを1組加える
FAQよくある質問
Qパジャマとスウェット、寝るならどちらがよいですか?
パジャマとスウェットを直接比べて睡眠の質の差を示した確かな研究は見当たりません。大切なのは締め付けがなく、汗を吸って蒸れにくく、寝返りしやすいことです。袖口や裾のゴムがきつくなく、綿など吸湿性のある素材ならスウェットでもかまいません。
Q夏はTシャツと短パン、または裸で寝てもいいですか?
問題ありませんが、汗を吸う布がないと寝汗で肌がべたつき、冷房で体が冷えすぎることがあります。夏は綿や麻、ガーゼなど吸湿性と通気性のよい素材のパジャマを着て、寝室はエアコンで涼しく保つ組み合わせがおすすめです。
Q冬はフリースのパジャマが暖かくてよいですか?
フリースは軽くて保温性が高い一方、ポリエステルが中心で吸湿性は高くありません。暖房や厚い布団と組み合わせると蒸れやすくなります。寝汗をかきやすい人は、肌に触れる面が綿のキルトやフランネル、重ねたガーゼなどを選ぶと快適です。
Qウールのパジャマは睡眠によいのですか?
ウールの寝衣で綿より寝つきが早かったとする研究が2件ありますが、参加者は17人と36人と少なく、どちらも羊毛業界団体の資金で行われています。素材の差は小さいと考え、肌ざわりや洗いやすさなど自分が快適に感じるかで選ぶのが現実的です。
参考資料
- 健康づくりのための睡眠ガイド2023 厚生労働省(健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会)
- The effects of fabric for sleepwear and bedding on sleep at ambient temperatures of 17°C and 22°C(Nat Sci Sleep. 2016) Dove Medical Press
- The impact of sleepwear fiber type on sleep quality under warm ambient conditions(Nat Sci Sleep. 2019) PubMed Central
この記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療に代わるものではありません。持病のある方、服薬中の方、体調に不安のある方は、医師などの専門家に相談してください。