02 MOVE ダイエット・運動

ヨガはダイエットに効果的?歴史から見た本来の目的と40代の取り入れ方

ヨガだけで大きく体重を落とすのは難しく、研究でも体重への効果ははっきりしません。もともと心を整える修行として発展した歴史を踏まえ、ストレス対策や運動の土台として活かす方法と安全な始め方を紹介します。

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Business Athlete 編集部
朝の光が差し込む板の間に広げたヨガマットと、木製のブロックと丸めたタオルが置かれた静かな部屋

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Key Pointsこの記事の要点

  1. 一般的なヨガの強度は2.5メッツで速歩より低く、ヨガだけで脂肪を大きく減らすのは難しい運動です。
  2. ヨガは古代インドで心を静める修行として生まれ、ポーズ中心の形は比較的新しい時代に広まりました。
  3. ストレス軽減の研究はあり、有酸素運動や食事管理を続けるための土台として組み合わせるのが現実的です。
目次6
  1. ヨガで痩せる?結論:脂肪を減らす主役にはなりにくい
  2. ヨガはスポーツ?歴史から見るもともとの目的
  3. 歴史を知ると、ダイエットへの活かし方が変わる
  4. 40代男性がヨガを取り入れるならこう組み合わせる
  5. 安全に始めるための注意点
  6. 今日からやること

ヨガだけで大きく体重を落とすのは難しいと考えてください。厚生労働省の資料では一般的なヨガの強度は2.5メッツで、速歩(4.0メッツ)より低く、研究のまとめでも体重や腹囲への効果ははっきりしていません。一方で、ヨガはもともと心を静めるための修行として発展してきた歴史があり、ストレスを和らげる効果を示す研究もあります。ヨガは痩せる手段の主役ではなく、運動や食事管理を続けるための土台として使うのが合っています。

ヨガで痩せる?結論:脂肪を減らす主役にはなりにくい

まず、消費エネルギーの面から見てみます。下の表は、厚生労働省のガイドに載っている運動の強さ(メッツ)と、体重70kgの人が60分行った場合の計算上の消費量です(安静時の分を差し引いた目安)。

運動強さ(メッツ)70kgで60分の消費の目安
ストレッチ2.3約90kcal
ヨガ2.5約105kcal
ピラティス3.8約195kcal
パワーヨガ4.0約210kcal
速歩4.0約210kcal

一般的なヨガは、同じ時間の速歩の半分ほどしかエネルギーを使いません。動き続けるパワーヨガなら速歩と同じくらいになります。

研究の結果も、この見方と合っています。ヨガの比較試験30件をまとめた2016年のメタ解析では、全体として体重、BMI、体脂肪率、腹囲への効果は認められませんでした。過体重や肥満の人に限ると、何もしない場合よりBMIが下がったという結果はありましたが、研究の質に課題があり、結論は暫定的とされています。

米国国立衛生研究所の補完統合衛生センター(NCCIH)も、ヨガが減量を助ける可能性はあるとしつつ、効果が大きかったのは、1回の時間が長く、回数が多く、自宅での練習も組み合わせたプログラムだったと紹介しています。

ポイント ヨガで「痩せる」ことを期待するより、「動く習慣をつくる」「ストレスで崩れる生活を立て直す」ことを期待するほうが、結果につながりやすいと考えられます。

ヨガはスポーツ?歴史から見るもともとの目的

ヨガは、競技として勝ち負けを競うスポーツとは成り立ちが違います。国連は、ヨガをインドで生まれた、身体・精神・霊性にまたがる古い実践だと説明しています。サンスクリット語で「結びつける」という意味の言葉が語源です。

起源と『ヨーガ・スートラ』

ヨガの起源を「5000年前のインダス文明」とする説明をよく見かけます。これは、瞑想しているようにも見える人物が刻まれた印章を根拠にしたものですが、それがヨガだと確かめる手段はなく、学術的には定まっていません。

まとまった形で残る代表的な文献が、パタンジャリがまとめたとされる『ヨーガ・スートラ』です。成立年代には諸説あり、紀元前後から5世紀ごろまで幅があります。この経典はヨガを「心の動きを静めること」と定義し、修行を8つの段階(八支則)で示しています。

  1. ヤマ(他者への戒め)
  2. ニヤマ(自分への戒め)
  3. アーサナ(座り方・姿勢)
  4. プラーナーヤーマ(呼吸の制御)
  5. プラティヤーハーラ(感覚を内に向ける)
  6. ダーラナ(集中)
  7. ディヤーナ(瞑想)
  8. サマーディ(深い没入)

今日「ヨガ」と聞いて思い浮かべるポーズは、このうちの3番目、アーサナにあたります。もともとは瞑想のために安定して座る姿勢を指していました。

ポーズ中心のヨガは比較的新しい

体を動かす技法を重視するハタ・ヨガは、中世のインドで体系化が進み、15世紀ごろには代表的な手引書『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー』がまとめられました。現在のジムやスタジオで行われているような、ポーズを次々に組み合わせるスタイルが広まったのは20世紀以降です。

時代主な出来事
古代インドで瞑想・修行の実践として始まる(起源の年代は不明)
紀元前後〜5世紀ごろ『ヨーガ・スートラ』が成立したとされる(諸説あり)
中世〜15世紀ごろハタ・ヨガが体系化される
20世紀ポーズ中心のヨガが欧米へ広がる
2014年国連が6月21日を「国際ヨガの日」に定める
2016年ユネスコの無形文化遺産に登録される

ユネスコは、ヨガを姿勢、瞑想、呼吸の制御、詠唱などを通じて心と体と魂を結びつける実践として紹介しています。体を鍛えることより、心を整えることが出発点にある実践だとわかります。

歴史を知ると、ダイエットへの活かし方が変わる

ヨガのもともとの目的が「心を静めること」だと考えると、ダイエットでの役割も見えてきます。

NCCIHによると、健康な成人を対象にした12件の研究をまとめた2020年のレビューでは、すべての研究でストレスの感じ方に良い影響が見られました。忙しい時期に夜食や間食が増える、会食続きで生活リズムが崩れるといった悩みは、ストレスと無関係ではありません。

ヨガの呼吸やポーズの間に「今、体のどこが張っているか」「本当に空腹か」に注意を向ける練習は、食べ過ぎに気づくきっかけになる可能性があります。この考え方はマインドフルネスを使ったダイエットとも重なります。瞑想そのものの効果は瞑想のメリットで整理しています。

ただし、ストレスが減れば自動的に痩せるわけではありません。ヨガで整えた状態を、食事の選び方や運動の継続に結びつけることが大切です。

40代男性がヨガを取り入れるならこう組み合わせる

ヨガを単独のダイエット法にせず、他の運動と役割分担させるのがおすすめです。

ヨガのタイプ特徴向いている使い方
ゆったり系(ハタなど)ポーズを保ち、呼吸を整える寝る前のリラックス、出張先での体ほぐし
動き続ける系(パワー、フローなど)ポーズをつなげて動く有酸素運動の代わりの日に
ホットヨガ高温の室内で行う暑さに慣れた人向け。脱水に注意

1週間の例としては、平日は通勤での速歩を中心にし、週1〜2回、夜に20〜30分のゆったり系ヨガを入れる形が続けやすいでしょう。週末に時間があれば、動き続ける系のクラスに出ると運動量も確保できます。

朝に行う場合は、起き抜けで体が固いため、反動を使わずゆっくり伸ばすポーズを選びます。夜は、仰向けや座った姿勢で呼吸を長めに吐くポーズが向いています。寝る前のケアは寝る前のストレッチも参考にしてください。

初心者が最初に覚えたい3つのポーズ

体が硬くても取り組みやすく、デスクワークで固まりやすい背中と腰をほぐせるポーズです。どれも呼吸を止めず、気持ちよく伸びるところで止めます。

  1. 猫と牛のポーズ:四つ這いになり、息を吐きながら背中を丸め、吸いながら胸を開いて背中をゆるく反らす。5〜8回ゆっくり繰り返す
  2. 子どものポーズ:正座からお尻をかかとにのせたまま上体を前に倒し、額を床かクッションにつける。腕は前に伸ばすか体の横に置き、5呼吸ほど休む
  3. 仰向けのねじり:仰向けで両膝を立て、両肩を床につけたまま膝をそろえて左右どちらかに倒す。顔は反対側へ向け、5呼吸ずつ左右で行う

膝が痛む人は子どものポーズの膝の間にクッションを挟み、腰に痛みが出る人はねじりを小さくしてください。

自宅で行うなら、ヨガマットを1枚敷くと、四つ這いや仰向けでも膝や背中が床に当たりにくくなります。厚さ6mm前後で、手や膝が滑りにくい表面のものを選びます。

スタジオやクラスの選び方

初めてなら、「初心者向け」「やさしい」などと書かれたクラスを選び、少人数で指導者が姿勢を直してくれるところが安心です。仕事帰りに通うなら、職場か自宅の近くで、夜の遅い時間帯にクラスがあるかを確認してください。オンラインのクラスは移動時間がかからない反面、姿勢の誤りに気づきにくいため、基本を教わってからの利用がおすすめです。

体重を落とすことが目的なら、ヨガと並行して、息が弾む程度の有酸素運動を週60分以上確保することを目指してください。これは厚生労働省のガイドが成人に勧めている運動量です。

安全に始めるための注意点

NCCIHは、ヨガは資格のある指導者のもとで行えば、健康な人にとって一般に安全な運動だとしています。けがで多いのは捻挫や筋の痛みで、重いけがはまれです。そのうえで、次の点に注意してください。

  • 初心者は、頭立ちや肩立ちのポーズ、蓮華座、強く速い呼吸法を避ける
  • 体が硬い人は、ブロックやタオルを使い、痛みが出る手前で止める
  • ホットヨガは体温の上がりすぎと脱水に注意し、こまめに水分をとる
  • 動画で自己流に行うより、最初の数回はクラスで基本の形を教わる

受診の目安 膝や股関節のけが、腰椎の病気、重い高血圧、バランスの障害、緑内障がある人は、ポーズの変更が必要な場合があります。始める前に医師と指導者に相談してください。練習中に胸の痛みやめまい、しびれが出たら中止し、続くようなら医療機関を受診してください。

今日からやること

  1. ヨガに期待することを「痩せる」から「整える」に置き換える
  2. 寝る前に5分、仰向けで息を長く吐く呼吸を試す
  3. 今週の予定に、速歩などの有酸素運動を合計60分入れる
  4. 近くのスタジオやジムで、初心者向けクラスの時間を調べる
  5. 持病がある人は、次の受診時にヨガを始めてよいか確認する

FAQよくある質問

Qヨガを毎日やれば痩せますか?

ヨガだけで大きく痩せるのは難しいと考えてください。一般的なヨガの強度は2.5メッツで、体重70kgの人が60分行っても消費は計算上100kcal前後です。体重を落としたいなら、速歩などの有酸素運動と食事の見直しを組み合わせてください。

Qヨガは5000年の歴史があるというのは本当ですか?

インダス文明の印章に瞑想のような姿の人物が描かれていることを根拠にした説ですが、それがヨガだと確かめる方法はなく、学術的には定まっていません。古代インドに起源があることは確かで、まとまった形で残る代表的な文献は『ヨーガ・スートラ』です。

Q体が硬い40代男性でもヨガはできますか?

できます。ヨガの目的はポーズの完成度ではなく、呼吸と体の感覚に注意を向けることです。ブロックやタオルを使えば、硬い人でも無理なく行えます。膝や腰に持病がある人、緑内障や重い高血圧がある人は、始める前に医師に相談してください。

参考資料

  1. Yoga: What You Need To Know National Center for Complementary and Integrative Health(米国国立衛生研究所)
  2. A systematic review and meta-analysis on the effects of yoga on weight-related outcomes(Preventive Medicine, 2016) PubMed
  3. 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023(運動のメッツ表) 厚生労働省
  4. International Day of Yoga United Nations
  5. Yoga(Representative List of the Intangible Cultural Heritage of Humanity) UNESCO

この記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療に代わるものではありません。持病のある方、服薬中の方、体調に不安のある方は、医師などの専門家に相談してください。